未来のトップデザイナーを目指す学生のサポートを目的とした奨学金制度「ELLE SOLIDARITÉ MODE(エル・ソリダリテ・モード)」が、ELLEとエスモードの主催、ザ・ウールマーク・カンパニーの協賛によって初めて海外・日本で「エル・ソリダリテ・モード・ジャパン2018」として開催された。記念すべき第1回の受賞者に、才能あふれるデザインと日本製の100%ウールデニムを使用して作られた作品が高い評価を受けた仙台出身の佐々木あやめさんが選ばれた。
ELLE SOLIDARITÉ MODE(エル・ソリダリテ・モード)は、将来ファッションデザイナーやパタンナーとして世界で活躍したいと願う18-24歳の女性の支援を目的とし、2004年にフランスで設立された奨学金制度だ。設立から13年間で約2000人の女性が参加し、数多くの才能がこの奨学金を得て世界へと羽ばたいている。「ウール素材のデニムで作る“デニム・スタイル”」をテーマに競われたコンクールで第1回目の受賞者に選ばれた佐々木あやめさんは、生地の組織に手を加え、シースルー効果を施すという優れた創造性が高く評価された。佐々木さんにはエスモード・ジャパン東京校での3年間の授業料と入学金に相当する奨学金、ならびに教材費が贈られる。
審査は3回にわたって行われた。第一次審査では「ウール素材のデニムで作る“デニム・スタイル”」をテーマにデッサンで競われた。ユニークで多彩なデッサン画が多数寄せられ、作品の完成度や提案性のみならず、応募者ひとりひとりのバックグラウンドが時間をかけて審査され、10名の一次選考通過者が決定した。
一次選考の「デッサン審査」を通過した10名は、第二次審査のために株式会社ショーワ製造、ザ・ウールマーク・カンパニー提供のウール100%デニムを使用して自身のデッサンを元にルックを制作。エスモード・ジャポン東京校で開催された第二次審査でその作品が披露された。その完成度と若い世代ならではの大胆なアイディアに、日頃ファッション界のプロフェッショナルを相手にする審査員からも驚きの声が上がった。厳正な審査の結果、5名のファイナリストが選出された。
東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開催された最終審査では、5名のファイナリストが自身のルックと共に審査員に対してプレゼンテーションを行った。エスモードインターナショナル代表 仁野覚氏、同校スティリズム講師 ロマン・ウルネル氏、『ELLE JAPON』編集長 酒井佳奈子氏、ザ・ウールマーク・カンパニー日本支社長サミュエル・コクデに加え、特別審査員のデザイナー、AKIKO AOKI氏が審査員を務め、作品の完成度や提案力の高さなどの観点に加え、将来性を重視して審査が行われた。
特別審査員を務めたAKIKO AOKI氏は「与えられた素材に対して、そこから新しくご自身の視点で発展させたところが良いと思いました。生地の特性も2種類となり幅がでて、作るものの自由度がさらにあがったのではないでしょうか」と、その創造力と技術を評価。受賞者の佐々木あやめさんは「選ばれると思っていなかったのでまだ信じられません。ファッションデザイナーという夢への第一歩が踏み出せて嬉しい」とコメントしている。
今回使用されたウール100%デニムは、国産ジーンズ発祥の地として知られる岡山県倉敷市児島地区に創業して80年近い歴史を持つテキスタイルメーカー、株式会社ショーワによって製造された。株式会社ショーワはフランス・パリで開かれる世界最高峰の生地見本市である「PREMIÈRE VISION(プルミエール・ヴィジョン)」に2005年から出展を続けている。2009年には、同社のウール100%デニムが10万点の応募の中から「ハンドル賞」を受賞している。プルミエール・ヴィジョンは展示素材のクオリティを保つため、厳しい事前審査(商品の品質、新商品の企画力・開発力、オリジナル性、世界中へのデリバリー能力など)に合格した企業のみ出展可能となっている。
株式会社ショーワはサステナビリティ(持続可能性)やトレーサビリティ(追跡可能性)を重視し、数々の試験を繰り返し、安心・安全な布を提供し続けている。株式会社ショーワは素材・デザイン・品質においてすべてのクオリティが高いことを強みとし、ひとつひとつ丁寧に、生地の風合い・肌ざわり・耐久性にとことんこだわったものづくりに取り組んでいる。
ザ・ウールマーク・カンパニーは、今後さらに専門学校や大学といった教育分野への貢献・サポートを強化し、今回の受賞者となった佐々木あやめさんのような今後世界へと羽ばたく若い才能を支援していく。また、ファッション企業と共同で教育現場へのセミナー、コンテストへの素材提供支援や人材育成支援といった事業・イベントを展開し、教育機関と繊維製造企業、アパレル企業、デザイナーブランドとの連携強化を促す事で、日本のファッション業界への貢献、ウール産業の発展へとつなげていく。